ビートたけし「北野家の家訓」と母と息子の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北野家の家訓

「ビートたけしの母、北野さきの名言」

 

  

①実るほど、こうべを垂れる稲穂かな

②自慢、高慢、馬鹿がする

③一杯の酒に城傾く

④モノをもらって怒る人はいない

⑤人は、欲しい時にモノをくれない

                  北野大著(「北野の訓え」より)

 

 

 北野たけし(ビートたけし) お笑い界の大御所でもあり、映画監督として数々の賞を受賞。80年代のお笑いブームから一貫して社会に多大な影響を与えつづけ、マルチな才能にファンも多く、総理大臣になってほしい人で1位にもなった

 生誕:1947年1月18日

 

 お金なんてつまらないものにふりまわされてはだめ

たけしさんは、自身の子供時代を振り返って、貧乏であったが、躾と勉強だけは徹底させられたと、かたっています。また、母さきさんは、お金なんてつまらないものに振り回されたはダメだと、収入が少なくても、安いお店には通わず、地元で買い物をしていたそうです。

 

兄である大学教授の北野大さんによれば、北野家には、家訓だけでなく、3つのキーワードがあるそうです。

 

① おせっかい

② やせ我慢

③ もったいない

 

 「おせっかい」

 当時の東京の下町には、「おせっかい」が溢れていたそうです。面倒見のいいおじちゃん、おばちゃんが、他人の子供も一緒に子育てをしていました。現在、待機児童の問題が語られていますが、当時は、一時保育や、時間外の預かりなど、隣近所で上手に消化していたことがわかります。所得や生活はあがっても、いまの生活が生きづらいのであれば、こうした「おせっかい」が減ったせいかもしれません

 

「やせ我慢」

そして、次に「やせ我慢」。お金なんてつまらないものに振り回されないように、爪に火をともすような生活であっても、一円、二円に一喜一憂しない母・さきさんの哲学を感じることばです。

 

 

お金がないことを、そのまま「下流社会」といってしまう下品さに、なぜ世の中の人は気づかないのだろう。「武士は食わねど高楊枝」という気概はどこへ消えたのか。うちは貧乏だったけれど、母親は商店街で投げ売りをしているような店には、絶対に並ばなかった。どんなに遠い店でも、1円のお客を大切に扱う店に通っていた

金のことでつべこべ言うと、母親にこっぴどく叱られたものだ。誰だって、金は欲しいに決まっている。だけど、そんなものに振り回されたら、人間はどこまでも下品になるというのが俺の母親の考えだった。貧乏人のやせ我慢と言ったらそれまでだが、そういうプライドが、俺は嫌いじゃない。」

出典:北野武の名言集

 

けっして豊かではない環境だからこそ、「やせ我慢」することで、お金よりも大事なプライドを、子ども達に伝えていたと感じませんか?

 

 

「もったいない」

最後に、「もったいない」。さきさんは、お米は、「八十八」と書くことから、それだけ手のかかったものを粗末にしてはならないと、ご飯粒をのこなさいように、しつけたそうです。マルチな才能をみせるたけしさんですが、食レポの仕事は断っています。理由は、他人さまが、汗をながしつくったごはんを、美味い、まずいというのは失礼だと思うからだとコメントしています。

ここにも、母の教えが色濃く残るエピソードです。


著書「たけし君、ハイ!」でも語られていた通り、たけしさんの育った環境は裕福なものでなく、ペンキ職人であった父と、母・さきさん。兄弟4人。おばあちゃんまで含めた大家族でした 高度成長のちょっと前まで、どこにもあった風景のなか、たけしさんの成功。そしてご兄弟もそれぞれ、有名大学に進学するなど、母・さきさんの猛烈な教育ママぶりが語り継がれています。貧乏から脱出するために、勉強が必要だとの強い思いで、兄弟それぞれが、母の期待にこたえ、成長していきました


北野家の家訓には、謙虚でいることの大切さと、お酒の怖さ、そして人生の厳しさがこめられています。そして、母・さきさんの生き方そのものが、教訓であり家訓であり、兄弟それぞれの心のやる気スイッチを押していったことがわかります。


そして、たけしさん自身が、教育についてこんな言葉をのこしています。


そして、たけしさん自身が、教育についてこんな言葉をのこしています。

 

子供の教育で大切なのは、タガのはめ方と、外し方なのだ。タガを外しすぎれば、桶はバラバラになってしまう。タガをきつくはめすぎても長持ちしない。自由に何でも好きなことをしなさいと言われたって、何をしていいかわからないという子供が多いんじゃないか。自由というのはある程度の枠があって初めて成立する。なんでもやっていいよという枠のない世界にあるのは、自由ではなくて混沌だ。子供に自由の尊さや、喜びを教えたいのなら、きちんとした枠を与えてやるべきなのだ。

出典:北野武の名言集

http://systemincome.com/main/kakugen/tag/%E5%8C%97%E9%87%8E%E6%AD%A6

 

 

また、躾の大切さについて、作法と、気遣いと表現をかえ、以下のように語っています

作法というのは、突き詰めて考えれば、他人への気遣いだ。具体的な細かい作法をいくら知っていても、本当の意味で、他人を気遣う気持ちがなければ、何の意味もない。その反対に、作法なんかよく知らなくても、ちゃんと人を気遣うことができれば、大きく作法を外すことはない。駄目な奴は、この気遣いがまったくできていない。人の気持ちを考えて行動するという発想を、最初から持っていないのだ。

出典:北野武の名言集

 

 

北野家がすごした高度成長の時代にくらべ、今の生活環境は劇的に変化しています。どの部屋にもクーラーがつき、テレビに携帯。車だってもてるようになりました。しかし、今の世の中に暮らし憎さを感じていないでしょうか? 

貧乏であっても前むきにみんなが生活していた昭和の時代にある種のノスタルジックを感じます。


しかし、哀愁に浸ることなく提言すれば、そんな時代をあなたが創ればいいだけです。事実、たけしさんは、母の言いつけをまもり、成功したあともトイレ掃除をすることを実践しています。軍団といわれる何人もの弟子を抱えていても、トイレ掃除だけは、他人には絶対させないそうです。


男はみんなマザコン

1999年8月、母親が亡くなった通夜の記者会見で「かあちゃん…」と絶句し泣き崩れたけしさん。人目もはばからず肩を震わせて涙を流す姿に、インタビューをしていた芸能記者がもらい泣きをしていました。 究極のマザコンと自称するだけあり、たけしの生涯は、たえず干渉してくる母の呪縛から逃げながらも、結局母の愛に甘える半生を過ごしています。


大学を中退し、一人暮らしをする際には、「母殺し」と、極端な表現で自分の中の大きな存在である母との決別を誓ったそうです。その後、漫才師として活躍するまでの下積み時代にも、滞納した家賃を払ったり、あるいは中退したはずの大学の学費を払い込んでいたりと、結局、かあちゃんの手の平で踊らされていたことを告白しています


たけしさんが芸能界で成功した後、さきさんは、事あるごとにお金をせびっていたそうです。お袋まで、金の亡者になったのかと落胆しながらも、多額の現金をを渡していましたが、死の間際、病床に伏せた母の真意に気づくことになります。上の姉から、風呂敷をわたされ、たけしの名義の通帳と印鑑を受け取ったそうです。通帳には、いままで渡してきたお金がそっくりそのまま入っていたとのこと。芸能界は浮き沈みの激しいもの、母・さきさんは、たけしが困った時のためにと、おこずかいをもらうふりをして貯金をしてきたのでした


たけしさんは、世界一のマザコンと自称しています。この子にして、この母あり。それも、納得のエピソードです。


北野家の風景は、昭和の時代、どこにでもあったエピソードなのかもしれません。ただし、母の期待と、母への裏切りをバネにして成功を勝ち取ったビートたけしの半生に学ぶものがたくさんあります。母ちゃんを見返す。そして母ちゃんを楽させる、そんな素朴な思いは、昭和でなくても、できる選択肢です。現実に、入社試験の一部として、「母親の足を洗う」ことを課題にしている会社さんもあるそうです。足を洗うことで、働くことの意義、そして本当の意味での感謝する心をまなぶ効果があるとされています。ぜひ、あらゆる角度での親孝行のすすめと、家訓づくりをつうじ、自分の心のなかにいる母ちゃんとむきあっていただくことを提案します。

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コメント: 4
  • #1

    ガチャピン (金曜日, 08 1月 2016 15:54)

    大変、ためになるお話を読ませて頂き、ありがとうございました。
    私は四人の息子を持つ、母です。
    今後の人生において、大いに参考にさせて頂きます。

  • #2

    家訓二スト (土曜日, 09 1月 2016 11:55)

    →ガチャピンさん

    コメントありがとうございます^^
    4人の男の子の子育て・・・ ご苦労が目に浮かびます
    このブログが、毎日の生活のちょっと箸休めになったでしょうか?

    一番偉大なのは、怒ったり笑ったり、そんな普通の毎日がどこまでも続くことだと考えています
    ぜひ、息子さん達が煙たがられても、偉大な母ちゃんでいてください

    家訓二ストはそんな母ちゃんを応援しています!

  • #3

    チャロ (日曜日, 25 2月 2018 22:27)

    さきさんの偉大な愛情のお話。涙が止まらなくなりました。私も男の子3人の母です。毎日、息子達に煙たい言葉をかけ、反省する毎日ですが、たけしさんのようにいつか私の子供達が思ってくれたら感無量だと思います。目まぐるしい毎日ですが、愛する息子達の為にまた明日から頑張ります。

  • #4

    家訓ニスト (月曜日, 26 2月 2018 09:08)

    ➡チャロさん

    メッセージありがとうございます。
    たけしさんが言うように、母親の愛は、分かってはいるが、うっとおしく、分かっているようで、一生かけても分からないほど深いものだと思います。

    全ての母ちゃんは偉大すぎる神様。
    僕自身、子供を育てるようになり、母の愛情に改めて気付かれました。

    ブログが支えになっていただけたなら本望です。
    子育て頑張ってください