まちづくりで必要となる「共通の言語」とは?

画像:ぼくトラノモン^^
画像:ぼくトラノモン^^

画像は、今話題の「虎の門ヒルズ」のマスコット、「トラのもん」です。

ドラえもんに耳をつけ、白色にしただけなのに、なんで話題をさらうのでしょうか?

 

これは、日本国民全員が、「ドラえもん」という【共通の言語】を持っている証拠です。新しく誕生した街(ビル)は、いってもただのコンクリートの塊です。でも「トラのもん」をCGで飛ばしただけなのに、人々は勝手に、未来を感じてしまいます(^_^;) ドラえもんの持っているイメージを最大限に利用した素晴らしい広告戦略ともいえそうです。

 

ドラえもんといえば、たくさんのキーワードが出てきます。未来、秘密道具、のび太、ジャイアン、スネ夫、静香ちゃん・・・ 

「共通の言語」の使用例を、まちづくりの会議を仮定して、どちらが分かりやすいかテストしてみたいと思います。

 

①「まちづくり懇談会 子供たちの居場所づくり 創造力を育むための自由広場(仮称)の建設のための懇談会」

②「ドラえもんの空き地づくりプロジェクト」

 

答えは断然②。なおかつ②をみて、頭のなかで、3つ重ねられた土管がイメージできたあなた、あなたと私は、【共通の言語】を持っています。

このイメージの力をあなどってはいけません。むしろ、このイメージを共有できただけで、まちづくりというストーリーは一気に加速するのです。

 

まちづくりに限らず、チームで物事に挑むとき、この「共通の言語」が必要になります。

この考え方は、先日拝聴したガルパンで町の活性化に挑戦している大洗JCOBの常盤さんの講演会で教えていただきました。常盤さんは、プロジェクトの中で、この「共通の言語」づくりに一番の時間をかけたっと証言しています。

 

では、「共通の言語」とはなんでしょう?

 

家訓づくりプログラムを制作する際も、この「共通の言語」をつくる過程が大事でした。福岡、大阪、盛岡、茨城、埼玉と、それぞれの地域から集ったスタッフが、夜を徹し何度も議論したことを覚えています。夜9時集合、朝5時解散。それぞれ国にかえって、また夜の9時に御茶ノ水に・・・そんな生活をしていました。

では、その中でどんな議論をしていたか? これは徹底的な「そもそも論」です。徳とはなんどや?家族とはなんぞや?そんな時間のなかで、急ごしらえの日本JCの会議体のなかで、「共通の言語」が誕生していったのです。

 

議論10日。そして、プログラムの完成に30秒。

共通の言語とは、JCでいう「背景」と「目的」を共有することと同義です。この2つを腹におとせば、事業は一瞬で決まるもの、何度かの徹夜をへて、お疲れさん会を品川のアンナミラーズで盛り上がっていた際、雑談の中で今の家訓プログラムは誕生しました。ブレストの中身はのちに変更になりましたが、家系図、ブレスト、そして電話をかけるとこまで、このファミレスで決定しました。その雑談の時間が丁度、30秒です。

その後、穂坂議長のもと、家訓二ストは、家訓プログラムを完成させ、また他の3人の副議長もそれぞれのミッションを昇華していきました。それもこれも、メンドクサイ議論から逃げず「共通の言語」をもったことに由来しています。

 

プログラム受講者の皆様にはおなじみの、「山口先生のインタビュー」これも、共通の言語の産物です。

制作過程で、先生とは1度しかお会いしていません。しかしその1度の機会に得られた金言が、プログラムをブラッシュアップさせました。なにより驚いたのが、VTRの内容です。これは、福岡在住の江藤さん(当時の副議長)が先生のインタビューを録画し送ってくれたものです。

あのインタビューには、原稿も、依頼もなしに、先生が自由に、家訓づくりへの想いを語ってくださったものです。しかしその内容が、あまりにプログラムにぴったしで驚きました。

 

これは、山口先生の考え方が、「共通の言語」の母国語であったことに由来しています。

打ち合わせの目的はすりあわせ。それは、回数でなく、理解度が重要ではないでしょうか?プログラム制作の暗中模索のなか、ビジョンを示したいただいた山口先生の金言が、プログラムにピタッとするのは当たり前、逆に、共通の言語をもたないチームは、何時間一緒にいても、力を発揮できません。福岡と茨城、そして実際お会いしたのは1度きり。でも、家訓二ストにとって、その出会いは、人生の師に出会った瞬間だったのです。

 

 

「共通の言語」についてのエピソードをもう1つ。

先日の平成弘道館大学 開学準備記念事業での1コマです。この事業では、藻谷浩介さん、米谷歴代会頭をそれぞれおよびし、講演を伺いました。

この時のテーマは、「スローソサエティー ~持続可能な社会にむけて~」です。JCでもなんじゃりゃ?という空気がある中、講演のなか、常磐大学石田ゼミナールの皆様にプレゼンをしていただく機会を設営し、1度、2度の打ち合わせにもかかわらず、難しいテーマに学生らしい切り口で、見事プレゼンを成功させました。これは、JC内で共有できなかった共通の言語が、石田ゼミの皆様と、講師の間で時空をこえ共有できていた証拠です。逆に、背景と目的をはき違えている限り、何百時間打ち合わせしても、内容がブラッシュアップされることはありません。

 

かつて、水戸芸術館のオープニングにあわせて、当時の佐川市長(故人)は、こんなメッセージをだしました。

「まず共通の言語としてのシェークスピアがある。」・・・っと

当時は意味さえ分かりませんでしたが、今なら意味がわかります。文化都市をめざす水戸にあって共通の言語であるシェークスピアを理解することが、スタートラインに立つということです。その意味では、いまだ水戸市民は、誇るべき文化施設を持ちながら、いまだ、共通の言語さえ持てていないのかもしれません。

 

考えてみれば、「家訓」というものの、家族にあっての「共通の言語」なのかもしれません。

どれだけ同じ時間を過ごしても、共通の言語を持たない限り、幸せの青い鳥はみつかりません。

 

JCの中、あるいは会社のなかで議論をしていると噛み合わないケースがないでしょうか?

それは、チームの中で共通の言語がないことに由来していると家訓二ストは考えます。地獄への道は、善意の石で出来ている。組織の中であって、空間の中の微妙な人間関係や、それまでの貸し借り等、その場の空気に支配されてしまうことが多々あります。

いい会社にするために議論していく会議が、「発言したら、仕事が増える。。。」とか、あるいは、「ここで正論をいっても、逆に部長の機嫌そこねるだけだ・・・」と、様子見を決め込むことで、売上増をめざす会議を重ねる結果、会社が倒産にむかっていく。そんな組織はたくさんあります。

 

あなたと、あなたを取り巻く仲間たちにとって、「共通の言語」とはなんでしょう?

 

家訓二ストは、水戸JCで、企画している7月例会「思いやり音楽祭」にむけ、共通の言語をつくっている最中です。今回は理事長より、プログラム化を指示されており、家訓に負けないプログラムを委員会メンバーさんと議論しながら、この1か月でつくる予定です。

時間がないのは、いつものこと、それでも、そもそも論の議論から逃げないこと、そして、議論が終わったら、パーっと飲んじゃうことをセットでお奨めします^^ 共通の言語を持つとき、事業は成功するのは当たり前として、打ち上げが最高に楽しいんですよね。

 

まちづくりの前提は、【共通の言語】をもつこと。

そして、「共通の言語」をもったチームは仲間となり、そしてまちづくりは、最高に楽しい「祭り」となるのかもしれません。

 

あなたと、あなたを取り巻く仲間たちにとって、「共通の言語」とはなんでしょう?

 

「共通の言語」とは、イメージの力。このイメージの力を信頼しましょう。書類をだせだの、スケジュールを詰めろだの、そんなものは、枝葉の議論。むしろ、このイメージを共有できただけで、まちづくりというストーリーは一気に加速するのです。

その言語を共有できた時、その「祭り」(プロジェクト)は、地域を必ずかえます(ー_ー)!! 

 

ちなみに、水戸JCの【共通の言語】は、深夜12時をすぎたラーメン山岡屋でつくられます。

水戸をかえるラーメン屋での語らい、あなたも、あなたの仲間と深夜のラーメン、もしくは焼き肉で、徹底的に議論してみてくださいね