スローソサエティーとは? 米谷さん(日本JC歴代会頭)講演会備忘録

画像:水戸JC 6月例会チラシ
画像:水戸JC 6月例会チラシ

スローソサエティーという言葉を聞いたことがありますか?

そもそも、スローなソサエティー(社会)とは、どんな世界なのでしょう?

 

この言葉は、2004年に主管させていただいた日本JC全国会員大会 水戸大会の開催理念となったキーワードです。

当時の日本JCの会頭であった米谷さんによって、提唱された概念です。それから10年、その後、同義に近い「ロハス」なる言葉も生まれ、時代を先取りした、未だ色あせない言葉です。

 

一般になじみの薄い「スローソサエティー」の考えかた。これを反対側から説明を加えてみます。スローの反対は、ファースト。二ストも大好きマクドナルドで有名なファストフードを例に、スローソサエティーの説明させていただきます。

 

ファーストフードまたはファストフード(英: fast food)とは、短時間で調理、あるいは注文してからすぐ食べられる手軽な食品や食事のこと。料理と共に、それらを提供している外食産業についてさす言葉です

単純に、早い⇔遅い。という関係性だけでなく、ファストフードの問題点は、家族の団らんや、地域の食を奪う点が挙げられます。コストだけ求め、世界中で一番安い材料を集め買い叩き、安価でお客様に提供することは、一見、メリットであるようですが、そこに社会に対する善はありません。つまり、ファストフードは、一方通行のドッジボール。一方、スローソサエティーは、双方向、循環型のキャッチボール型の社会と定義します。

 

米谷さんが運営するNPOでは、こんな説明をしています。

 

スローソサエティーの提示する社会とは、人と人、人と地域、人と自然、人と歴史や伝統とのつながりを大切にし、自然の循環を意識したスローな生活様式を提案・実践し、持続可能な未来の社会への水先案内を目指しています。
 多種多様なコミュニティづくりをおこなうとともに、まちの担い手となる人々を育てる活動を行い、未来の子どもたちにより良い世界を残すため、多様なつながりに生かされている社会〈スローソサエティ〉の実現に向けて活動する協会です。「スロー」とはゆっくり~だけでなくて、プロセスやつながりを大切にすることによってもっと暮らしやこころが豊かになること、「ソサエティ」とは地域社会のことです。

 

また、スローソサエティーの提示する社会が、啓蒙運動として昇華した事例に、「キャンドルナイト」があります。水戸JCでは、2005年より運動に参加し、告知活動や、音楽イベントを展開し、2010年からは移管し、学生を中心にした有志によって運営しています。

 

東京タワーを消灯したりするなど、社会的な運動になりつつあるキャンドルナイト。その呼び掛け文にはこうあります。

  

「私たちは100万人のキャンドルナイトを呼びかけます。

夏至・冬至、夜8時から10時の2時間、みんなでいっせいにでんきを消しましょう。

ロウソクのひかりで子どもに絵本を読んであげるのもいいでしょう。

しずかに恋人と食事をするのもいいでしょう。

ある人は省エネを、ある人は平和を、ある人は世界のいろいろな場所で生きる人びとのことを思いながら。

プラグを抜くことは新たな世界の窓をひらくことです。

それは人間の自由と多様性を思いおこすことであり、文明のもっと大きな可能性を発見するプロセスであると私たちは考えます。

一人ひとりがそれぞれの考えを胸に、ただ2時間、でんきを消すことで、ゆるやかにつながって「くらやみのウェーブ」を地球上にひろげていきませんか。

ゆるやかにつながって「くらやみのウェーブ」を地球上にひろげていきませんか。」

 

 この呼びかけ文を参考にすれば、スローソサエティーとは、大量生産大量消費は善であるという常識をすて、プラグを抜くこと、そしてそれは新たな世界の窓を開いてくれるのです^^

前回のブログで紹介させていただいた藻谷浩介さんの考え方も、まったく一緒です。里山資本主義、あるいはこれまでの化石燃料の消費に頼った社会では、遅かれ、早かれ破たんの日を迎えます。消費型の社会はドッジボール。当てたら終わり。でも、スローソサエティー、キャッチボール型の社会では、地域の中で、お金や人材がグルグルまわると家訓ニストも考えます。

 

2011年3月に怒った東日本大震災の時、郷里の水戸が震度6強の激震に襲われました。鉄道は1ヶ月の間、不通。高速は遮断され物流が完全に止まりました。ここで、一番の問題となったのは、ガソリンです。日本一といわれる自動車社会を誇る?水戸で、ガソリンがなくなった時、街はどうなったか?皆様は想像がつくでしょうか?

 

ガソリンがなくなった時、ある人は徒歩で、ある人はチャリンコで会社に、買い物に走りました。

なおかつ、マツキヨや、イオン、セブンイレブンといったファストフード型の商いの供給がとまったことで、地域にある個人商店にお客さんが殺到していました。・・・これってつい最近までの日本の社会の姿ではないでしょうか?

 

結論として、震災で物流がとまったことで、水戸の商売人は潤いました。

今までは、ガソリン代、あるいはコンビニに、お金を地域の外に上納していたものが、1ヶ月ぐらいでしたが、地域の中だけで経済がまわる循環型の社会が誕生していたのです。

 

ここに1000円があったとして、その1000円には何の価値もありません。交換するものがあって初めて1000円の価値を有するのです。震災時に、売ってもらえるものがなくなり、お金の意味を勉強しました。

1000円が地域の中で循環するということは、ぼくが床屋さんに払う1000円が、床屋さんは、夕飯の材料として1000円を使い、夕飯の材料を売った人が、その1000円で、ぼくの会社から醤油を仕入れる。では、1000円は減ったのか、増えたのか?と考えると、グルグルまわっただけで、何も変わっていません。

 

強制的にスローソサエティーとなった水戸の街。しかし被災した街は、ドッチボール型の社会から、キャッチボール型の社会となり、物はなかったけど、人々の思いやりに溢れた素晴らしい街になっていました<(`^´)>

 

プラグを抜くということは、新しい社会の窓をひらくこと。そこには、日本中どこにでもあった、ちょっと懐かしい社会に戻るだけなのかもしれません。

 

米谷歴代会頭は、講演の中で、こんな話をされました。

男の子ばかり5人を育てる米谷家。JC卒業後、奥様から、お叱り?をうけ今まで家を空けてきた罪滅ぼしのため、子どもの勉強を米谷さんがすべてみる約束をしたそうです。題して「パパ塾」です。

パパ塾では、勉強を教えるのはもちろん、スロソサエティーについて子どもたちと一緒に考えているそうです。

 

米谷さんが、子ども達にする質問は、こんな感じ・・・

「お風呂が熱いのはなんでかな?」っと、子どもは答えます。「お湯を沸かしているから・・・」では、何で沸かしているのか?そのエネルギーはどこからくるのか?そんな質問を繰り返し、米谷さん曰く、その答えは、「お風呂が熱くなるのは、1万年前の太陽のおかげ」となるそうです。

 

雄大な教えですね(^_^;) 子ども達につながりの中で生きていることを教えるために、そんな質問をたくさんしているという米谷家。歴代会頭の訓示を毎日もらい成長する5人の男の達がうらやましい限りです(^_-)

 

 

講演の中では、世界が倍になる話も伺いました。

長男が生まれ、廊下でハイハイをさせているとき、直感的に感じた概念だそうです。つまり、子どもができたことで、自分の人生を歩んできた自分が、子どもの人生の歩みも、見守る義務があるのだと気付かれたそうです。自分×子ども=2倍の世界観です。

これは、前(こども)だけでなく、後ろ(おや)との関係にも言えることですし、親世代を含めれば4倍、祖父で8倍、曽祖父で16倍の世界をつなぐという意味では、家訓は、そのお手伝いができる無二のツールです。

 

プラグをぬくことは、古くて新しい価値観に戻ること。

2004年の米谷会頭が、打ち出された「スローソサエティー」という力強いメッセージが、今まさに社会に求められているようです。そして、家訓づくりも、そんな社会をつくるためにお手伝いをする1つの素材です。

 

家訓づくりプログラムが、スローソサエティーの一翼を担うのには理由があります。

大会理念を地域のまちづくり、ひとづくりに昇華させるため、水戸JCでは、「水戸未来ビジョン」を策定しました。家訓二ストはこのビジョンに共感し、JCに入会し、またビジョンの基、企画された家訓づくりの例会(2008年)に出会うことになるのです。つまり家訓ニストのアイデンィティは、スローソサエティーに根差しています。

 

ビジョンの父、そして家訓づくりのご先祖さま? 米谷先輩に、ご来水いただき、ご講演を賜ったことに感謝し、この御礼を確かな行動でもって社会を変革し、そしてノーベル平和賞を受賞することで恩返しをしたいとおもいます

 

ありがとうございました。